おげんきですか?
体外受精を行い、子宮に戻す(胚移植)前に受精卵の染色体を調べ、異常のない物だけを子宮に戻す”着床前スクリーニング”。
少し前になりますが、日本産科婦人科学会は今年2月、”着床前スクリーニング”の臨床研究計画を正式に承認しましたね。
この計画は、体外受精を3回以上失敗した人や、原因不明の流産を2回以上繰返した人を集め(3年間で600組)、着床前スクリーニングを行うグループと行わないグループに分け、体外受精でできた受精卵の一部を分析、流産、妊娠、出産の成績に差が出るかどうか調べるものです。染色体の数に異常があり、”不適”と評価されると子宮に戻しません。
染色体異常は流産や死産の原因になることが多いので、この臨床研究で子供を授かる確率が高くなるかどうかが 検証され、日本産科婦人科学会では、重い遺伝性の病気や染色体異常で流産を繰り返す場合などに限り特定の遺伝子や染色体の検査をこれまで認めていました が、すべての染色体を調べる検査はこれまで認めていませんでした。
排卵誘発や採卵を乗り越えて移植までいくも、そこで繰り返し着床しないというのは本当に辛いことと思います。
また、妊娠反応が出た年齢が40代であったり低AMHの人などの場合、染色体異常で流産してしまい、またホルモン値がもとに戻るまで数か月かかる場合も多いのが現状です。それを考慮すると着床前に受精卵をスクリーニングが出来ることは魅力的な方法に思える部分もあるかと思います。
しかし、スクリーニングによって”不適”と評価された場合は生まれる可能性があっても子宮に戻さないなど、”命の選別”になるのではないかという批判もあり、日本産科婦人科学会では会告で禁じていますが、今回は臨床研究として特別に認めたようです。
会告で禁じていても法律で禁止されているわけではないので、実際に着床前スクリーニングを行っている病院もありますし、そういった治療受けている患者様もいらっしゃいます。
今はまだ不妊治療の中でまだ一般的ではない“着床前スクリーニング”という技術。今後は少しずつ変わってくるのかも知れません。
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